ポニー合宿や自然体験活動で活躍してくれている大学生ボランティア、通称“カウンセラー”。彼らは日々の子どもとの関わりの中で様々な“疑問”や“悩み”に直面します。
このコーナーはそんな彼らの“疑問”や“悩み”に、スタッフのタイタン(阪本宜之)が自分なりの考えをお伝えするというコーナーです。何かのヒントになったり、お役に立てると幸いです。
「押すなよ、押すなよ!」問題
~相談No.1~Aさんからのご相談
『私は最近、「○○するなよ!絶対するなよ!」といったお約束ネタに悩んでいます。以前、子どもから「押さないでね!絶対押さないでね!」と言われた時に押さなかったら残念がられてしまうことがありました。
そして、つい最近、同じような状況に直面した時は、前回の反省をふまえて、「絶対○○しないで!」と言われたことをしてみることにしました。すると、「絶対しないでっていったじゃん、、」と逃げていってしまいました。これ正直どうしたらいいのでしょうか?』
とっても素敵なお悩みですね。実は私自身も同じような経験があります。”子どもと関わる人あるある”とでも言えるんじゃないでしょうか。
このお悩みに対して、“ことば”と“本心”というお話をお伝えしようと思います。
”ことば”と”本心”
相談者の直面した場面をこの二つで整理してみると、最初の「押すなよ、絶対押すなよ!」は、
ことば | 押さないで
本心 | 押して
口から発している“ことば”と、実は内心で思っている“本心”が違います。
それに対して、二つ目の「絶対○○しないで」は、
ことば |○○しないで
本心 |○○しないで
と、“ことば”と“本心”が一致しています。
このように、人と人とのコミュニケーションにおいては、“ことば”をそのまま受け取っていい場面と、そうでない場面があります。
ですから、やっぱり人の話は注意深くしっかりと聴かなければいけません。
“しっかりと聴く”とは?
最近はLINEやSNSを使ったコミュニケーションが非常に多くなっています。
文章や絵文字などを使ったコミュニケーションです。しばしば、「それはLINEじゃなくて電話で話してよ」と思う事もあります。
また、近頃はビデオ通話技術の発達によってオンラインの会議や研修会も頻繁に行われるようになりました。しかし、「やっぱり対面で、直接会わなきゃダメだよね」という声も良く聞きます。
さて、何が言いたいのかというと、「対面での人と人とのコミュニケーションには“ことば”以外の情報がたくさん使われている」ということです。
以下に各媒体での使用される情報をまとめてみます。
メッセージアプリ…文字(ことば)、スタンプ、行間
電話…ことば、声色、声量、語気、話す速さ、間
ビデオ通話…ことば、声色、声量、語気、話す速さ、間、表情、身振り
対面…ことば、声色、声量、語気、話す速さ、間、表情、身振り(全身)、目線、距離感、雰囲気、熱量、周囲の環境など
全て網羅できているかはさておいて、相手の話を聴くという事は、上記にあげたような内容も加味して、その人の”本心”を受け取るという事です。
ですから、相手の本心をしっかり“聴く”為には、耳だけではなく、目も、身体も、心も相手に向ける必要があります。
すべての感覚器官とこれまでの経験を総動員して、相手の本心を受け取る努力をすれば、この「押すなよ、押すなよ!」問題の解決の糸口がつかめるかもしれません。
訊く力(質問力)も大切
相手の表情や声色、身振りなどから相手の本心を察する力も大切ですが、それらはどこまで行っても“推測”の域をでません。
きちんと相手の本心を受け取る為には、推測だけではなく、不足している情報を相手から直接訊くことも大切です。
“本心”の部分はデリーケートな内容である事もあるので、言葉選びや表情、態度、なども含めて配慮しながら質問する事が大切です。
まとめ
「押すなよ、押すなよ問題」は子どもとの遊びの一場面だからといって侮ってはいけません。
結構高等なコミュニケーションスキルを要します。今回のように、某芸人さんのような「押すなよ、押すなよ」的シチュエーションにおいては、瞬時の判断が必要になります。
「本当に押して良いの?ホントに?危なくない?怪我したらどうするの?・・・わかった、じゃあ押すよ?いい?」と質問攻めして、間延びしてしまうと押される側もたまったものではありません。
逆に、子どもの悩み相談や真剣な場面においては、今やっている作業の手を止めて、おへそをその子に向けて笑顔で「どうしたの?」と切り出してあげて欲しいと思います。
“しっかり聴く”は子どもと関わる大人にとって、とっても大切な心構えだと思います。
私自身も、この文章を書きながらハッとさせられました。相談者の方、素敵なご質問ありがとうございました。
読んで頂きありがとうございます。
ご感想やご相談等をぜひお寄せください!お待ちしております。
阪本 宜之(タイタン)
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