ハーモニィカレッジが掲げる「5つのカン」を育む事業の紹介をしていくシリーズ。
ハーモニィカレッジの教育観に関する第1回目の配信はこちらからご覧になれます。
「5つのカン」
① 感:五感を通して感じるという意味のカン
② 勘:直観などの勘が働くという意味のカン
③ 環:つながりの中で生きるという意味のカン
④ 観:先を見通すという意味のカン
⑤ 幹:自分らしい軸を持つという意味のカン
ハーモニィカレッジの教育観③「環を育てる」
「もう死にたい…、自分なんてどうせ…」と漏らす子どもとの暮らしが私を大きく成長させてくれて、今でも自分を突き動かす原体験となっています。
今回はハーモニィカレッジ教育観の三つ目「環」について書きます。中高生は発達段階で青年期、特に青年前期は思春期、反抗期とも呼ばれ、関係性が大きく影響する時期です。豊かな関係性のある「環」を広げる時間にしたいと思っています。
この青年期は、個人差はありますが心と体に急激な変化が起こります。他者との比較や性意識への関心も高まり、自身の変化に戸惑いながら新たな自分と出会っていきます。些細なことにイライラしたり、不安になったり、反発したりと自分でもわからない反抗期とも重なるので、親としては難しいと感じることもあるのではないでしょうか?不安で不安定だからこそ認めてくれる存在、共感し合える仲間、ありのままが許される場所を求めることはごく自然なことです。
牧場では、幼児から大学生までどの年代の子どもも欠けることなく深く関わってくれているので子どもたちの変化を感じることができます。児童期は馬に乗って楽しい、遊びに夢中など体験自体が楽しいようですが、高学年くらいから徐々に関係性の中での楽しみが増えていきます。友だちに会って話す、小さい子の面倒をみる、カウンセラーに甘える、大人に任されるなどが楽しくなってきます。それは馬房掃除でも、食器洗いでも、ありのままの自分を受け入れてもらって、役立ち感を感じ、豊かな関係性があれば何をしていても楽しく、活力が湧いてくるのです。
最初に書いたのは、不登校や非行、引きこもりや発達障害など、生き辛さか抱えた子どもたちとの牧場生活塾「寄宿塾」の経験談です。不安や孤独に苦しんで、無気力や投げやりになっている30名以上の子どもたちと暮らしてわかったことがあります。何よりも問題なのは「関係性の貧困」でした。家にも学校にも居場所がなくなれば、良くても悪くてもリアルでもバーチャルでも、とにかく安心できる繋がりや心の拠り所を探します。それすら見つけることができなければ、一切の関係性を断った世界に引きこもってしまいます。この不安定で難しい青年期こそオープンで、健全で、豊かな関係性のある「環」を広げる時間にしてほしいと思っています。
大堀 貴士
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